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22.ダンスの練習

작가: 春風悠里
last update 게시일: 2026-08-03 06:01:40

 そうして五月になり、交流立食会の日が目前となった。少しずつ生徒同士の関わりが生まれる中で、これを機会にもっと仲よくなっちゃおうよという学園の計らいだろう。

 この世界にゴールデンウィークはないものの、学園では前後含めて三日間お休みとなる。交流会も自由参加だ。入学前にも案内があったので、既によそ行きの服を持ってきている生徒は多い。更衣室も用意され、一人では着られない服もあるだろうと職員も何人か常駐してくれる。

 早朝に自分のメイドを寮に呼び寄せてもよく、ラビッツはそうすることだろう。俺も侍従が朝からやってくる。貴族も多く通うことから許可証持参で使用人が来ることも多いものの、決まった時間外はこういった特別な行事の時に限られる。

 そして、今日は交流会前日。

 ラビッツと二人きりで旧校舎のいつもとは違う部屋にいる。アーチを描いた曇りガラスによって外から中は見えない。この校舎が使用されていた時に、高貴な身分の客を招く場所だったのかもしれないし、特別な授業用だったのかもしれない。

 ――この場所を聞いた時の顧問との会話を思い出す。

『こもーん! 内緒の話がしたいんだけど、こもーん!』

 旧校
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  • 転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜   30.リュークの相手は?

    「うむ、ドーナツ岩だな!」「そうね、どこからどう見てもドーナツ岩ね」「なんの異変もないな!」「もっと近づかないと分からないけど、さすがにもうトラみたいなのは現れないでしょう」 校舎の裏を抜けて小道を下っていくと、やがて視界が開ける。相変わらずそこには湖が広がり、遠目にもはっきりと分かるドーナツ型の岩と女神像が静かに佇んでいる。 水面は太陽の光を浴びてやわらかくきらめいている。湖畔には野の花が咲き、春の香りを含んだ風がやさしく髪を揺らす。「二人っきりだけど――、」 これもデートってことにしちゃ駄目かなと言おうとして、気づいた。 「まっ、待て待て待て!」 ラビッツの腕を引っ掴んで、傍らの木の陰へと連れ込む。「ふぇ!? いきなりなにっ。た、確かに二人きりだけどっ、わ、私にだって心の準備ってものがっ、あ、い、嫌ってわけじゃっ――」「リュークがいる」「はぁ!?」「もう一人は――、ラグナシアか!? 嘘だろう」「………………」「まさかゲームとはまったく違う相手が――って、いてっ! いててっ!」 なぜか耳を引っ張られた。「なんだ、どうした」「べっつにー」 ものすごく不機嫌顔だ。「あ、あのな? ほら、ドーナツ岩の左の方にある森の手前のベンチにな? リュークたちがいるんだよ」「見れば分かるわ」「あ、前にはなかった看板があるな。なんだろう」「ここから先にボトルはありませんとでも書いてあるんじゃない」「おお! なるほどな。さすが、ラビッツ。天才! 最高! 可愛い! 俺の嫁!」 ――パシーン! 扇子ではたかれた。 なぜ……。 あ! もしかして! これもデートにカウントしようと思ったのがバレたのか!?「そ、そうだよな。二人きりじゃないし、確かにこれはデートじゃないな。ちゃんと誘う。どこ行くかも決めて……どこにしようか」「はぁ。もうなんでもいいわよ。で、あの二人に気づかれたけど」「どぇぇ!?」 ほんとだ。 手を振られてしまった。「い、いいのか!? 邪魔していいのか!?」「いいと思うわよ。たぶんそんな関係じゃないし」「分かるのか!?」「なんとなく雰囲気で分かるでしょう」 全然分からないが!「雰囲気……?」「ニコラ、鈍いわよね」「分かる方がおかしくないか?」「どう見ても、友達未満の距離でしょう」 距離……! そ

  • 転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜   29.生徒会長たちと

     中央広場に設けられたテントは、白い布地に金の縁取りが施されている。さすがはこの学園が用意したものだ。たかがテントなのに、シャレオツである。 ……王家からの寄付金もあるしな。 ラビッツと並んで歩きながらテントに向かっていくと、会長と副会長の姿が見えた。二人とも椅子に腰かけ、机の上にはボトルの記録用紙や確認リストが並んでいる。 「……あの二人、仲よさそうだな」 ボトルも並んでいたしな。 ゲームでは気にしていなかったものの、生徒会長が男性で副生徒会長は女性、両者とも真面目そうな空気をまとっている。「そうね」 俺たちが近づくと、生徒会長がすぐにこちらに視線を向けて立ち上がった。「ニコラ様、何かトラブルでもありました?」 俺たちが一番乗りだったらしい。回収したボトルはまだ一本もないようだ。「いいや。ボトルの持ち主が生徒会長のだったんだよ。ノクス君、お疲れ様。大変そうだね」「あ、僕のでしたか。ありがとうございます。大変ではないです。やり甲斐がありますね。それにしても、偶然にしてはすごいですね。実は僕のボトルもニコラ様のだったんですよ」「……それは奇遇だね」 やっぱりか。ゲームの強制力には抗えなかったらしい。おそらく開始早々、すぐ近くにあったボトルを選んだのだろう。なぜ俺のは、運営サイドへと飛んでいったんだ。 ちなみにヒントは「王子」とだけ書いた。「私のボトルは、副生徒会長のでした」 ラビッツも俺と同様に、中の宝物を見せてボトルだけを返却した。彼らがボトルに触れると、わずかに残っていた淡い光も消える。そうしてまた、このボトルたちは来年のフェスを待つのだろう。「あら、なんて偶然」 副生徒会長がにこにこして自分が選んだらしいボトルを見せた。真面目そうに見えたものの、笑うと八重歯が見えて人懐っこい印象に変わる。 ゲームでは生徒会長の横に佇んでいるだけだったからな……。「私もラビッツ様のボトルだったんですよ」「えっ」「少し待っていてくださいね」 記録用紙にサラサラと記入していく。「はい、こちらですよね」 生徒会長と副生徒会長からそれぞれボトルを渡されたので、スッと触れた。淡い光が同様に消える。「宝物、ありがとうございますね。フェルトの小さな熊さん、可愛らしくてとても好きです」 可愛いな!? 俺も欲しいぞ!「気に入っていただけた

  • 転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜   28.二人のボトル

     ラビッツと共に校舎の裏側にまわってみる。人気のないところの方が、生徒会長のボトルはない気がしたからだ。せっかくならゲームから外れてみたい。 ボトルがどこに着地するかは、中身を入れた学生の意識も多少は反映する。誰にも見つけてほしくないと望む者のボトルは植え込みの中にある、といった具合だ。「お。二つあるけどどうする?」 人通りの少ないそこで、植え込みの間からチラチラと虹色の光が見えた。「いいじゃない、それにしましょう」 ラビッツが片方のボトルを拾う。指先が触れた瞬間、ボトルの虹色の光は静かに消えた。淡い光だけをわずかにまとう。俺も片方を拾い上げ、中を確認する。 丁寧にたたまれた白いハンカチ一枚とヒントのメモ用紙。『生徒会長』 その文字を見てガガーンと崩れ落ちた。「やっぱり生徒会長じゃないか……。なんでこんなところにボトルがあるんだよ。生徒会長なんて目立つことやってんのにさー。お、ハンカチにはボトルの刺繍がしてあるな。あー、ヘタでごめんってメモに書いてある。なるほど、自信がなかったからボトルがここに来たのか……」 中に入れる宝物は、さすがに自由にすると金額が高くなる。購買でもこの時期には手作りキットがたくさん販売されていて、いくらまでと金額の上限も決まっている。「私のはポストカードね。素敵な絵が描いてあるわ。ドーナツ岩があるから学園の湖ね」「へぇ、綺麗だな」「で、これ見て」「おっ」 ヒントの単語は『副生徒会長』だ。「仲いいな」「二つ並んでたものね」 ゲームでは、リュークのボトルの相手はルートに入っている女の子になる。それ以外のヒロインが誰のボトルを手に取ったのかは分からなかった。「なんにせよ、リュークとラビッツのルートはなくなったな。よかった……本当によかった」「え。まだ可能性があると思ってたの?」「だって怖いじゃんかよ。リュークはほら、カッコいいしさ」「ん……そうね。カッコいい、わよね。でも、ほら、あんただって、その、あの、カ、カ、カ、ガ、ガンバッテるじゃない? ほら、王子のお仕事とか。えっと、鍛えてもいるみたい、だし?」 なんでそんなにシドロモドロなんだ? 日頃ツンツンしているから、誰かをフォローするのも苦手なのかもしれない。「ありがとな。確かに……前世よりも頑張ってる。そうすることでしか見えない景色もあるんだなって

  • 転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜   27.ボトルフェス

     思念品はリュークとルリアンに任せ、それ以外には特に何事もなく、五月下旬となった。 ルリアンに聞いて全ての思念を把握しているリュークから、ポチの部屋に俺は近づかない方がいいと言われたことが、少し気になってはいる。でも、実際には何も起こっていないわけだし、深く考えないことにした。女性陣は色々と持ち込んでメルヘンな部屋になっているらしい。 絶対に何か起こる気がするとトラが言っていたし、嵐の前の静けさのような気もするが……。 パトロール隊へのささいな要望や事件はぽつぽつあった。魔法理論の講義を応用した生徒同士の悪戯で影がおかしなダンスをするようになり生徒が駆け込んできたり、教科書を枕にしたら首が痛いと泣きついてくる生徒までいた。そっちは魔法関係ないだろうと言いたいが、ルリアンが治癒魔法で回復させていた。 いずれもその日のうちに解決だ。主に、先生に言うのが恥ずかしい話が持ち込まれる。ほとんどルリアン一人で解決してしまうのが、さすがというべきか……。 生徒のおふざけには相変わらずペンデュラムが反応し、全員で出動している。 内容はいかにも学生だなぁと微笑ましい。もしかすると、前世の俺にニコラの記憶がプラスされて、俺の精神年齢はそこそこ上に達しているのかもしれない。「――と思うんだけど、ラビッツ」「やらしい発言が多々見られるし、どうかしらね」「仕方ないだろう。女の子と付き合ったことは一度もないんだぞ!?」「……そう、可哀想ね」 なんで睨むんだ! 「もしかしてラビッツには……恋人がいたとか?」「いないわよ」「やったー!!!」「両手をあげて喜んでいる時点で、精神年齢は幼いわね」「嬉しいんだよ!」 ということは、もしかして俺が初恋人とか初キスとか初デートの相手になるかもしれないのか!?「やったー!!!」「しつこいってば」「ラビッツ! 俺とキスしてください!」 ――スパーン!「しないわよ!」 また扇子が飛んできた。 「なんで……」 最近はいい雰囲気になることもあるじゃないか。ツンデレは好きだけど、好きだけど……!「〜〜〜っ。い、言ったじゃない。ムードを考えなさいって。ムードづくりよ。た、例えば、その、ほら、い、一応私たちも婚約者同士なわけだし? あるでしょ。必要な、ね。えっと。まずは舞台というか、デ、デ……だから、ほら、あの……」

  • 転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜   26.思念品

    「これは……」 リュークが自ら持ってきた箱を置いて、ゴクリと喉を鳴らす。「ヤバイ予感はしていたが……」「運んでくれてありがとな、お疲れ様」 労いを込めてガシッとリュークの肩に手を添えた。「疲れるのは、これからだろう」「うぅぅ。怖すぎるな……」 パトロール隊への要望ボックスが置いてある机の下に、なぜか箱が置いてあった。要望書を確認して、リュークが旧校舎へ運んでくれた。要望書に書いてあった内容は――、『思念品が家に大量にあります。亡くなった祖父がおかしなものを集めるのが趣味だったのですが、量が多く処分に困っているので、なんとかしてください。こちらは一部です。浄聖師に断られた品もあります』 ここは、意思の力で魔法が発動する世界。思念が残ることもあり、呪われのなんとかみたいなのも前世より多いし眉唾ものでもない。前世ならポルターガイストかと思われる現象も、ここでは「そんなこともあるよね」で終わってしまう。 しかし、これは量が多すぎるし集まりすぎている。この箱からおかしな気配がグワングワンと漂っている。「……私は、何もできないと思う」 ベル子はそうだよな。浄化は特殊魔法だ。むしろ使えない人のが多い。日本でいうところのお清めの塩くらいの浄化はできても、思念を祓うことは難しい。「埋めたくなるわね」「地上が見つからないくらいに、地中深く埋めちゃうにゃん〜」「うちの領地の浄聖師に分配してもよろしくてよ」「い、いやいや、オリヴィア嬢の気持ちはありがたいが、最初から諦めるのもな」 こういったものは教会の浄聖師に任せるのが一般的ではあるものの、それなりの寄付金は必要だ。ゴミとして処理しようにも思念だけで形を保っているので処分できず、持ち主の元へそのうち戻ってしまう。それに……。「浄聖師さんに断られる理由が分かりました」 思念を感じ取ることができるのは、この中でルリアンだけだ。「おおまかにしか分かりませんが、リストにしますね」 皆でルリアンの書く内容を見つめる。「踊るくま人形」 夜中に踊り出すぬいぐるみ。ダンスが好きだった少女の「もっと踊りたかった」という思念が宿り夜中に踊る。両親の離婚により習い事の継続が不可能になったようだ。「夢を映す鏡」 触ると夜に見た夢が映る。「さっき見た夢を思い出したい」という思念が宿る。誰も触らない場合、夜中0時に

  • 転生デビュー 〜おバカ王子とツンデレ悪役令嬢のジレキュンな日常〜   25.女子会

    「お二人とも、同時でしたねっ!」 今日は交流会の翌日、ベル子ちゃんとラビちゃんが部屋へ遊びに来てくれました。ラビさんのことはラビちゃんと呼んではいるものの……高貴なお方の空気を感じて、心の中ではたまにラビさんと呼んでしまうこともあります。「……お邪魔します」「邪魔するわね」「はい、どうぞ中へお入りください。ちょうど紅茶を入れたところなんです」「いい香りね」「はい、お気に入りのローズティーです。お口に合うかは分かりませんが……」「ありがとう」 日差しがやわらかく差し込む部屋の中で、ティーテーブルには三つのカップと、手作りのクッキーを並べた小さなガラス皿。 うん! ちゃんと女子会してますよね!「このテーブルクロスも可愛いわね。さすがルリルリ」 「えへへ。お店で見つけて一目惚れしちゃって」「ルリルリの部屋……全部、可愛い」「ほんとよね」 今までは学校が終わるとすぐに家に帰らなければならず、家庭教師だったり習い事だったりと大忙しでした。 女子会なるものが流行っていることは知っていましたが、これが初めてです! 皆で「いただきます」とクッキーを食べて美味しいねと笑い合ったりラビちゃんが「私の釘が打てそうなクッキーとは大違いね」と少し落ち込んでいるのを慰めたりと時間が過ぎていきます。「それで本題。昨日はどうなったの」 ベル子ちゃんがいきなり切り込みましたよ!?「それが……全然ダメだったの」 ラビちゃんが顔を覆って落ち込んでいます。たまに、こうなっちゃうんですよね。……ニコラさんの前では強がっていますが。「進展なし?」 ベル子ちゃん、容赦なしです!「可愛げがなさすぎて自分にガッカリする……。で、でもね、ニコラだって悪いのよ!」「うん、分かる。ニコラさん、鈍そうな気がする」 だからベル子ちゃーん!「た、確かに鈍いけど! でもほら、ああ見えてえっと……か、顔とか可愛い系でしょ?」 フォローに入りましたね!「はい、可愛い系だと思います」 王子様の見た目に対して、この返答でよかったんでしょうか。「それに、たまには……か、かっこいいところもあるわよね」「はい、ニコラさんの采配にすごいなと思ったことも何度もあります」「そうよね、頼りがいがあるところだってあるし、たまには私だってドキドキしたり……おかしくないわよね?」「はい、

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